ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE 第3戦「FUJIスーパー耐久 24 Hours Race」|TKRI松永建設AMG GT3が初めて富士24時間を制す。
5月30日〜6月1日、静岡県の富士スピードウェイにてENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONEの第3戦『NAPAC富士24時間レース』が開催された。
シリーズ第3戦は年に一度の24時間耐久レースとなり、過去最多となる10クラス60台の参戦車両が集結。長丁場の戦いとなることから、助っ人など新たな顔ぶれも見られた。今回は29日(木)からスポーツ走行や専有走行などが行われ、30日(金)に公式予選が実施された。週末を通して不安定な天候が予想され、12時から開始された予選も、早朝の降雨によりウエットパッチが残る路面での走行となった。
総合優勝を争うST-Xクラスでは、33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3が圧倒的な速さを見せ、富士24時間耐久レースで2年連続となる総合ポールポジションを獲得した。2番手は0.637秒差で81号車DAISHIN GT-R、3番手は101号車Hitotsuyama Audi R8 LMSが続いた。
GT4規格車両が採用されるST-Zクラスでは、25号車raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4がポールポジションを獲得。2番手は22号車EBI GROUP Cayman GT4 RS CS、3番手は52号車埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2となった。
迎えた決勝日、この日も朝から小雨が降り、午後のピットウォーク後には雨脚が強まり、雷を伴う悪天候に見舞われた。そのため、当初予定されていた15時のグリッドオープンは1時間遅れとなり、レースは16時にセーフティカー(SC)先導でスタートした。この時点では雨は弱まったものの、霧がサーキットを覆っていた。
序盤のST-Xクラスは、ポールスタートの33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3がリードを広げる展開となった。開始から1時間ほどで路面が乾き始め、スリックタイヤに履き替えるマシンも増加。18時台に入り夜間走行に移行する中、打ち上げ花火の煙によりSCが導入されるという珍事も発生したが、大きなアクシデントはなくセッションは進行した。
しかし、ミッドナイトの時間帯に入ると濃霧が発生し、長時間のSC導入に加え、ST-Zクラスのトップを走行していた26号車raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4がクラッシュし、赤旗中断となった。再開後も濃霧の影響でSCランから2度目の赤旗が提示されるなど、深夜帯は荒れ模様となった。
ST-Xクラスの33号車Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3は総合トップを順調に走行していたが、終盤に他クラスのマシンと接触してダメージを負い、左エキゾーストから炎と煙が上がる事態に見舞われた。ペースも上がらず、残り3時間少々のところでリタイアを余儀なくされた。
代わってトップに立ったのは、3号車TKRI松永建設AMG GT3だった。これを好ペースで追い上げてきたのが、666号車seven x seven PORSCHE GT3Rで、一時はオーバーテイクを許したものの、12度目のフルコースイエロー(FCY)解除のタイミングで再び3号車がトップを奪還。その後も666号車の猛追を振り切り、3号車TKRI松永建設AMG GT3がチーム初となる富士24時間総合優勝を飾った。
ST-Zクラスでは、10号車NANIWA DENSO TEAM IMPUL Zが4番手スタートからクラストップに浮上したが、夜間走行中に他車と接触。その後、25号車raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4が首位に返り咲くも、大クラッシュによりリタイア。代わって首位に立ったのが、52号車埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2だった。
荒れた展開となったST-Zクラスだが、25号車raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4が終盤までほぼノートラブルで走り切り、見事クラス優勝を果たした。2位は52号車埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2、3位には22号車EBI GROUP Cayman GT4 RS CSが続いた。
また、前戦鈴鹿大会を欠場し、開幕戦もてぎ以来の参戦となったST-TCRクラスには2台がエントリー。ポールポジションを獲得した98号車WAIMARAMA Elantra N TCRが夜間走行までトップを快走していたが、トラブルによりピット作業を余儀なくされた。その結果、19号車BRP★NUTEC 制動屋 CUPRA TCRが逆転し、最後まで安定した走行を見せ、今季初優勝を手にした。
写真=南 博幸/鈴木華子 文=三家香奈子