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2025 SUPER FORMULA Rd.8 SUGO|岩佐歩夢、雨と暑さを制し、SUGOで掴んだスーパーフォーミュラ初勝利。

8月9〜10日、宮城県・スポーツランドSUGOにて全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦が開催された。計12戦のうち、今大会は今季最後となる1大会1レース形式での実施となった。

2025年シーズンはほとんどの大会で1大会2レース制が導入されており、1大会1レース制は第5戦オートポリスと今回の第8戦SUGOのみ。ただし、第5戦オートポリスは悪天候によるスケジュール変更で実質ワンデー開催となったため、本来の形式で進行されたのは今回が初めてである。土曜午前には90分のフリー走行、午後に公式予選、そして日曜に30分のフリー走行(2回目)を経て決勝レースが実施される流れとなった。

昨年は6月に開催されていた東北大会だが、今年は真夏の8月に開催され、9日(土)のフリー走行1回目は気温と路面温度が上昇するなかで行われた。序盤から激しいタイム合戦が展開され、終盤にかけてアタックシミュレーションがさらに激化。TEAM MUGENの15号車岩佐歩夢と16号車野尻智紀が一時トップに立ったが、最終的に22号車小出峻(San-Ei Gen with B-Max)が最速タイムを刻み、首位発進を決めた。

ピットウォークを終え、14時から予選がスタート。まずQ1のA組では、午前のFP1で4番手につけていた37号車サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)が速さを見せた。2番手には午前にエンジントラブルがあった39号車大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、3番手には16号車野尻が続いた。

続くB組は赤旗中断を挟み、アタック時間がさらに限られる難しい展開となったが、65号車イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)がトップ通過。2番手に15号車岩佐、3番手に4号車ザック・オサリバン(KONDO RACING)が続いた。

スターティンググリッドを決定するQ2では、終盤のアタック合戦で37号車フェネストラズが一時トップを奪うも、15号車岩佐が0.249秒上回って今シーズン初のポールポジションを獲得。スーパーフォーミュラ初優勝に向け、大きな一歩を踏み出した。

2番手には37号車フェネストラズ、3番手にはQ1 B組トップの65号車フラガが続いた。ランキング首位の1号車坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)はQ1を6番手でぎりぎり通過し、最終的に4番グリッドを獲得。3ポイント差でランキング2位につける6号車太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)はQ2進出ならず16番手に終わった。

青空と猛暑の予選日から一転、決勝日は朝から雨模様に。ウエットコンディション下で行われたフリー走行2回目では、今季スペックが改められたヨコハマのウエットタイヤが初めて実戦投入され、ここでも15号車岩佐が速さを示した。2番手に37号車フェネストラズ、3番手に1号車坪井と、VANTELIN TEAM TOM’Sの2台が揃ってトップ3入りを果たした。

午後の決勝レースも雨脚が弱まらず、ウエットコンディションでのスタートとなった。開始時点では雨は落ち着いていたが、レースはセーフティカー(SC)先導で始まり、5周を終えて本格的にスタート。序盤の1コーナーでは15号車岩佐と37号車フェネストラズが激しいトップ争いを繰り広げるも、岩佐が抑え切った。

その後、1号車坪井が38号車阪口晴南(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)を捉えて3番手に浮上し、背後には8号車福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が迫った。一方、前日にクラッシュした39号車大湯は最後尾まで後退。10周目には佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)が単独スピンでグラベルにストップし、再びSCが導入された。

15周目にレースは再開。スタートで出遅れた65号車フラガが6番手から8号車福住をオーバーテイクし、12号車三宅淳詞(ThreeBond Racing)も16号車野尻に迫った。だが18号車大嶋和也(docomo business ROOKIE)と12号車三宅が接触し、最終コーナーでコースアウトしてタイヤバリアに追突。幸い怪我はなかったが、2度目のSC導入となった。

中団勢はピット作業を進めるなか、上位陣はステイ。29周目、15号車岩佐を先頭にリスタートが切られた。37号車フェネストラズ、1号車坪井、38号車阪口、8号車福住までが一団となり、レースが進む。

優勝争いは依然として岩佐とフェネストラズの接戦が続いたが、8号車福住が38号車阪口を捉え、さらに1号車坪井に迫った。終盤、1号車坪井が最終コーナーで膨らんだ隙を突き、福住がオーバーテイクシステムを使用して前に出る。残り数分のところで3番手が入れ替わった。

51周のレースは度重なるSC導入で最大延長時間の75分に迫ったが、岩佐は一度も先頭を譲らず、残り40秒でファイナルラップへ。難しいウエットコンディションを制し、スーパーフォーミュラ悲願の初優勝を飾った。勝てずに悔しい思いを重ねてきただけに、ゴール後は喜びを爆発させた。

2位は37号車フェネストラズ、3位は終盤の猛攻で追い上げた8号車福住が今季初表彰台を獲得。以下、1号車坪井、38号車阪口がトップ5入りとなった。

さらに岩佐はポールポジションと優勝を揃えてフルポイントを獲得。ランキング2位の6号車太田は8位にとどまり、岩佐がランキング2位に浮上した。ランキング首位の坪井とは5ポイント差、太田とは3ポイント差に迫っている。

予選はドライ、決勝はウエットという対照的なコンディションの東北大会で、新たな勝者が誕生。今シーズンは残り2大会4レース、次戦は10月10〜12日に静岡県・富士スピードウェイで開催される。さらなる混戦が期待されるスーパーフォーミュラから目が離せない。

写真=南 博幸 文=三家香奈子

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