2025 AUTOBACS SUPER GT第6戦 SUGO GT 300km RACE|ファイナルラップまでもつれた激闘を制したのは、リアライズコーポレーション ADVAN Z。
9月20日(土)〜21日(日)、宮城県・スポーツランドSUGOにて「2025 AUTOBACS SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE」が開催された。
第6戦・鈴鹿から約1カ月後、舞台は東北・宮城県のスポーツランドSUGOへと移された。今回のSUGO大会も前戦同様に通常フォーマットで行われ、300kmで争われるレースとなった。また、SUPER GTシリーズではシーズン第7戦からサクセスウエイトが半減されるため、第6戦は今季で最も重量のかかるレースとなる。ポイントランキング上位のチームにとっては、厳しい条件での戦いを強いられることとなった。
予選日の20日(土)は朝から雨模様。公式練習の開始時には路面にウエットパッチが残るコンディションだったが、セッションが進むにつれて気温と路面温度が回復し、後半は多くのチームがレインタイヤからスリックタイヤへと履き替えて走行した。途中、3度の赤旗中断を挟むなど荒れた展開となった。
その中で、52号車 Green Brave GR Supra GT がトップタイムを記録。2番手に2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT、3番手に666号車 seven × seven PORSCHE GT3R が続いた。
午後の予選は曇り空の下、14時05分にGT300のQ1 Aグループがスタート。タイムアタックが始まると、真っ先に666号車 seven × seven PORSCHE GT3R がターゲットタイムをマーク。そのなかで7号車 CARGUY Ferrari 296 GT3 が圧倒的な速さを見せ、Q2進出を決めた。Q1 B組では、前大会で表彰台を獲得しながらもレース後の車検で失格となった60号車 Syntium LMcorsa LC500 GT がトップ通過を果たした。
決勝グリッドを決める予選Q2でも、60号車 Syntium LMcorsa LC500 GT が引き続き好調を見せてトップタイムを記録。2番手に2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT が続いた。終盤には7号車 CARGUY Ferrari 296 GT3 がそのタイムを0.019秒上回り、ポールポジションを確実なものとした。
2番手には前戦の雪辱を期す60号車 Syntium LMcorsa LC500 GT、3番手に0号車 VENTENY Lamborghini GT3、4番手に4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、5番手に2号車 HYPER WATER INGING GR86 GT が続き、トップ5が出そろった。
明くる21日(日)は晴天に恵まれ、決勝はドライコンディションでスタート。ポールポジションの7号車 CARGUY Ferrari 296 GT3 を先頭に隊列が一斉にスタートを切った。序盤から60号車 Syntium LMcorsa LC500 GT と0号車 VENTENY Lamborghini GT3 が2番手争いを展開。ここは60号車がポジションを守り、さらにペースの上がらない7号車を捉えて7周目に首位を奪った。
後方では0号車 VENTENY Lamborghini GT3 が苦戦し、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG や56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R が順位を上げる展開に。序盤にはGT300車両のアクシデントによりフルコースイエロー(FCY)が導入され、タイヤのグリップ低下により60号車が後方から詰め寄られる場面もあった。
4号車とのテール・トゥ・ノーズの攻防が続く中、60号車は28周目にピット作業を行い、異なる戦略を選択。これを機に各車が続々とピットインを開始した。上位勢はスティントを引っ張る作戦をとったが、4号車や56号車がピットに入ると、裏の首位を奪い返したのは60号車 Syntium LMcorsa LC500 GT だった。
レースが順調に進むかと思われた矢先、41周目に2度目のFCYが導入。45周目に再開された直後、最終コーナー立ち上がり付近でGT500クラスを含む4台が絡むクラッシュが発生した。複数台が大破し、パーツがコース上に飛散。ピットレーン入口付近のバリアも損傷し、回収・修復に時間を要したため、約1時間の赤旗中断となった。
規定周回数よりも先に最大延長時間の16時30分が迫り、16時にリスタートしたレースは短期決戦へ。GT300クラスではピット作業を終えていないチームもあったが、各車が手際よく遂行し、60号車 Syntium LMcorsa LC500 GT がトップに返り咲いた。リスタート時点で首位にいた61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT は無交換作戦で上位復帰を果たしたが、右リヤタイヤにトラブルが発生しガレージへと戻った。
終盤、トップの60号車は勢いを増す56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R に迫られたが、前戦の悔しさを晴らすように鉄壁の守りでリードを死守。そのままテール・トゥ・ノーズの接戦のままチェッカーを受け、見事リベンジを果たした。チームとしては、2021年11月28日(日)の第8戦・富士以来、約3年10カ月ぶりの勝利となった。
2位は56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R、3位には終盤に華麗なオーバーテイクを見せた666号車 seven × seven PORSCHE GT3R が入り、表彰台を獲得。4位に4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、5位に11号車 GAINER TANAX Z が続いた。
なお、赤旗の原因となったアクシデントに関与した2台にはペナルティが科され、30号車 apr GR86 GT にペナルティストップ60秒、777号車 D’station Vantage GT3 には「危険なドライブ行為」としてドライブスルーペナルティがレース後に科された。いずれもリタイアに終わっており、未消化のため次戦に影響を及ぼす見込みである。
GT500クラスでは、16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT が2戦連続でポールポジションを獲得。しかしレースでは、2番手スタートの39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra が序盤でトップに立ち、終盤までその座を守った。そこへ24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Z が猛追し、ラスト数周にわたって激しい首位争いを展開した。
さらに3番手の車両も加わり、3台がワンパック状態で接近。最大延長時間が迫る中、ヒートアップした首位攻防戦はファイナルラップまでもつれ込んだ。何度も仕掛けた24号車 リアライズコーポレーション ADVAN Z がついに劇的なオーバーテイクを決め、観客を沸かせた。KONDO Racing にとっては、2016年11月の第3戦もてぎ大会以来、約9年ぶりの勝利となった。
2位はわずか0.649秒差で敗れた39号車 DENSO KOBELCO SARD GR Supra、3位は17号車 Astemo CIVIC TYPE R-GT。ポールスタートの16号車 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT は4位に終わり、5位に37号車 Deloitte TOM’S GR Supra が続いた。
SUPER GTシリーズは残すところあと2戦。チャンピオン争いがいよいよ佳境を迎える。次戦・第7戦「AUTOPOLIS GT 3Hours RACE」は、10月18日(土)〜19日(日)、大分県・オートポリスで開催される予定だ。
写真=南 博幸/鈴木華子 文=三家香奈子