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情熱と妥協なき精度が融合する、アバルト専用BBS鍛造ホイール。

アッソは、イタリア車ユーザーの情熱に応え続けてきた。BBSとの協業で生まれたアバルト専用ホイール「GRU IS701」は、妥協を許さない専用設計で、走りの歓びと所有の誇りを叶える一本である。


日本の匠が描き出す、アバルトに宿る究極の足元。

 イタリア車のチューニングとドレスアップパーツを手がける「ASSO(アッソ)」。1997年の創業以来、四半世紀にわたって国内のカスタマイズシーンを牽引し続けてきたブランドである。輸入車アフターパーツ市場がまだ成熟途上にあった時代から、数多くのアイテムを生み出してきた。ベース車両が持つ個性を損なわず、スタイリングと走りの魅力を際立たせる。しかも日本の道路事情に適応させる繊細なセッティング、そして「メイド・イン・ジャパン」ならではの精緻な品質によって、ユーザーに安心感と誇りを提供してきた。

 そのアッソの哲学を最も雄弁に物語る製品のひとつが、ABARTH 500/595/695用に専用設計されたホイール「GRU IS701」である。F1をはじめ世界のトップカテゴリーにホイールを供給してきた最高峰ブランド「BBS」とのコラボレーションによって誕生し、2017年に市場投入された。小さな車体に過激な走りを詰め込んだアバルトにふさわしい、徹底した性能追求を体現する一本である。

 GRU IS701の特筆すべき点は、設計思想にある。一般的なアフターパーツメーカーの多くは、既存のベースモデルのデザインを流用し、アバルト専用のホイールピッチ(H-P.C.D./4-98)に合わせる方法をとる。しかしIS701はその手法を採らず、最初からアバルトのためだけに設計された稀有な存在である。結果として、センターボアはボルトホールの縁まで切り込まれ、スポークは中央からリムに向けて伸びやかに広がる。スポークの根元には細やかな肉抜き加工が施され、軽量化と強度の両立を実現。さらにリムへと流れる部分では隣接するスポークをY字形に組み合わせ、軽快さと力強さを兼ね備えることに成功した。これらの造形は、単なる意匠ではなく、BBSが長年にわたりF1や耐久レースの現場で培った技術の蓄積が生み出した成果であり、そこには妥協を許さぬレーシングスピリットが息づいている。

 「鍛造ホイールのメリットを生かすのであれば、BBSさんしかない。そう思ったんです」

 アッソ代表の時本大地さんは、開発当時をそう振り返る。鍛造ホイールは軽量で剛性が高いことが特徴だが、時本さんが特に驚かされたのは真円度の高さだったという。「タイヤを組んだとき、バランスウエイトはほとんど必要なかったんです。つまり、ホイールそのものの精度が非常に高い証拠です。これは日常走行でも明らかな違いとして体感できる部分でした」と語る。

 このホイールの開発の背後には、「鍛造ホイールがほしい」というアバルトオーナーからの切実な声があった。鍛造ホイールは鋳造ホイールに比べて価格が高いことは広く知られている。しかしユーザーは、その事実を理解したうえで、それでも欲しいと願った。理由は明快だ。足元を引き締めるスタイルの美しさに加え、ばね下重量の低減によって得られる走りの軽快さ。これこそが小さなホットハッチに乗るアバルトファンが夢見る「憧れ」の要素だった。

 背景を読み解けば、さらに深い理由が見えてくる。イタリア車を愛する人々にとって、代わりの効かない唯一無二の存在がアルファ ロメオやアバルトといったブランドである。とくにアバルトは、コンパクトな車体にモータースポーツ直系のエッセンスを凝縮したブランドであり、電動化の流れが加速する現代においても「最後のピュア・ドライビング」を体現する存在として、多くのオーナーにとって手放せないパートナーとなっている。だからこそ、彼らは多少のコストを払ってでも愛車を長く走らせたいと願うのだ。

 2017年の発売以来、GRU IS701は多くのアバルトオーナーに選ばれてきた。単に軽量で高剛性というスペック面の魅力にとどまらず、そのデザインがアバルトのキャラクターと見事に調和している点も評価されている。小さなボディをいっそう力強く、そしてエレガントに見せるスポークの意匠は、街中でもサーキットでも強烈な存在感を放ち、所有する喜びを日常的に実感させてくれる。

 「お客様から『一生もののホイールが買えました』と言われたときは、本当に嬉しかったです」

 時本さんの眼差しには、イタリア車モディファイの文化をつくりあげてきた者ならではの矜持が宿っていた。イタリア車という情熱的な存在に、日本の工業製品ならではの精度を融合させる。その歩みが結晶したのが、この「GRU IS701」なのである。アバルトという小さな巨人にふさわしい足元を与えること。それはアッソが掲げる理想を、最も具体的なかたちで証明する試みでもあった。


写真=中島仁菜 文=編集部   問い合わせ=アッソ・インターナショナル 03-3868-3521 https://asso.co.jp   取材協力=BBSジャパン 03-6402-4090 https://bbs-japan.co.jp

GRU IS701
PRICE LIST (税込)
17×7.0J ¥151,800

センターからY字状に枝分かれし、リムへと伸びるデザインをBBSはクロススポークと呼ぶ。レースシーンで培われた機能美を象徴している。

スポークの付け根には肉抜き加工が施されている。軽量化の効果はもちろん、BBSの高度な加工技術を実感させる部分だ。

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