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2025 SUPER FORMULA Rd.9-10 FUJI SPEEDWAY|第9戦はフェネストラズがキャリア2勝目を飾る。

10月10日(木)〜12日(土)、静岡県・富士スピードウェイにて全日本スーパーフォーミュラ選手権第9・10戦が開催された。今大会は2戦ぶりに1大会2レース制が採用され、11日(金)に実施された第9戦では、37号車サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)が自身初のポール・トゥ・ウインを達成。12日(土)に予定されていた第10戦は、濃霧による視界不良のため中止となった。

前戦SUGO大会では、15号車岩佐歩夢(TEAM MUGEN)が難しいウエットコンディションを制してスーパーフォーミュラ初優勝を飾り、新たなウイナーが誕生。ポイントランキングでは、ディフェンディングチャンピオンを目指す1号車坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が首位につけているものの、岩佐が5ポイント差の2位に浮上した。さらに、前半戦で大量得点を稼いだDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの6号車太田格之進と5号車牧野任祐もポイント差は小さく、タイトル争いは混迷を極めている。

スーパーフォーミュラの2025年シーズンは終盤戦に突入し、残すところ計4戦。いずれも1大会2レース制で、今回の富士スピードウェイと最終戦・鈴鹿サーキットの開催を残している。富士大会は10月開催ということから「SUPER FORMULA HALLOWEEN」と題し、ハロウィンにちなんだイベントが多数開催された。「トリック・オア・トリート!」とスタッフに伝えるとお菓子がもらえるほか、おばけとの運動会や、SC(セーフティカー)をかぼちゃやおばけのモチーフで特別デザインするなど、7月の富士大会に続いて多彩な催しが行われ、ウイーク中は4万8500人が来場し賑わいを見せた。

今大会は2レース制のため、10日(木)から走行が開始。台風接近による悪天候が懸念されたが、初日は曇り空のもとで2度の専有走行が行われ、各1時間のセッションはいずれも赤旗中断を挟む展開となった。午前はPONOS NAKAJIMA RACINGの65号車イゴール・オオムラ・フラガと64号車佐藤蓮がワン・ツーにつけ好調を示し、午後は5号車牧野が首位発進を決めた。ここ数戦グリップダウンに悩まされ苦戦が続いていたが、この日は久しぶりに首位で終え、復調の兆しを見せた。

迎えた第9戦開催日の11日(金)は朝から小雨が降り、富士スピードウェイ一帯は霧に包まれた。10時10分からの予選Q1(Aグループ・Bグループ)、Q2へと進むにつれ天候は悪化し、雨量が増加。水しぶきが激しく上がり、中断もやむを得ないほどの濃霧で視界不良となった。Q2では、Q1のAグループでトップ発進を決めた15号車岩佐が最速タイムを記録するも、最終コーナーでクラッシュ。マシンのフロント部分を大きく破損してストップし、赤旗中断となった。

その後、岩佐は「川に足をすくわれてクラッシュしてしまいました。1周ごとのコンディション変化が大きく、富士で雨のコンディションを走るのは初めてだったこともあり、単純に経験不足でした」と説明している。

車両回収とクラッシュバリア修復が進む一方、ドライバーたちは再開に備えてマシンに乗り込んだまま待機したが、協議の結果、赤旗終了が宣言された。多くの車両がタイムアタックを行えないまま幕を閉じ、暫定結果では岩佐がトップだったものの、赤旗の原因となったためタイムは抹消。代わって2番手の37号車フェネストラズが初のポールポジションを獲得し、1号車坪井がフロントロウにつけ、VANTELIN TEAM TOM’Sがワン・ツー体制を築いた。3番手には16号車野尻、4番手には初日トップの5号車牧野が続いた。なお、15号車はエンジン交換を行い、最後尾スタートを選択している。

午後も雨脚は弱まらず、スタート進行時も濃霧に覆われたまま、第9戦の決勝レースはSC先導のもとで開始。オリジナルグリッド順でスタートしたが、2周目終了時点で小出峻が緊急ピットインし最後尾までドロップ。さらに、周回を重ねるごとに雨量が増し、6周目には赤旗中断。雨が弱まったタイミングで再開したものの、14周終了時点で再び赤旗となり、レースはそのまま終了が宣言された。

結果、順位変動はなく、37号車フェネストラズが初のポール・トゥ・ウインを飾った。7月の富士大会からセットアップを変更し、それが功を奏したと語るサッシャは、「一度スーパーフォーミュラを離れたけれど、チャンピオンシップを争うために戻ってきた。再びトップに立ててうれしい」と喜びを語った。1号車坪井が2位、16号車野尻が3位に続き、VANTELIN TEAM TOM’Sのワン・ツーフィニッシュは10年ぶり。チームは17.5ポイントを加算してランキング2位に浮上し、ドライバーズランキングでも坪井が14.5ポイント差に広げた。

第9戦は悪天候と視界不良により、ドライバー・ファンともに不完全燃焼なレースとなったが、翌日の第10戦にはドライ予報への期待が寄せられた。最終日12日(土)は朝こそ霧に包まれていたものの、次第に天候は回復。10時10分開始のAグループQ1は曇り空のもと、ウエットパッチが残るコンディションでスタートした。Q1ではA・B両グループともにDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの5号車牧野と6号車太田がトップで通過した。

予選Q2開始時にはドライとウエットが入り混じるミックスコンディションとなったが、レコードライン上は乾き始め、タイムも上昇傾向に。各車が計測に入ると、好調な牧野がトップタイムをマーク。その後も2番手争いは目まぐるしく入れ替わったが、首位は変わらず牧野が自身4度目のポールポジションを確定。2番手にはフラガ、3番手に太田が続き、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが2台揃って復活への前進を見せた。

この予選ではホンダエンジン勢が上位6台を占め、トヨタ勢最上位は7番手の1号車坪井だった。前日の勝者フェネストラズはQ1でスピンを喫し、タイム更新ができず敗退。18番手からのスタートを強いられた。

併催レースが進行するなか、スーパーフォーミュラ第10戦決勝の時刻が迫ると、富士スピードウェイは再び濃霧に包まれた。スタート進行は10分おきにディレイが宣言され、90分遅れとなる15時35分に最終判断が下され、濃霧による視界不良のため中止が決定した。これを受け、主催者のJRP(日本レースプロモーション)は記者会見を開き、上野禎久社長が中止の経緯と今後の対応について次のように述べた。

「第10戦富士大会は濃霧による視界不良で回復の見込みがなく、安全が確保できないため中止となりました。代替レースについては、今後富士スピードウェイおよび最終戦の鈴鹿サーキットと協議のうえ決定します。スーパーフォーミュラのレースをお見せできなかったのは非常に残念であり、ファンの皆様に心よりお詫び申し上げます」

第9戦はヘビーウエットでの予選と赤旗終了の決勝、第10戦はドライ予選が行われたものの決勝中止という、濃霧に翻弄された大会となった。ドライバーたちは悔しさをにじませ、上野社長は「代替戦を開催するか、全11戦でシリーズを完結させるかの二択になる」ともコメント。チャンピオンシップの行方にも影響を及ぼす今後の動向に注目が集まる。

スケジュールに変更がなければ、最終戦となる第11・12戦は11月21日(金)〜23日(日)に三重県・鈴鹿サーキットで開催される予定である。

写真=南 博幸 文=三家香奈子

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